America's conscience

smz - 22:00

ピート・シーガーは、何に怒ったのか?

1965年、ニューポートでディランがエレクトリック・ギターを弾いたときピート・シーガーが「斧でケーブルをカットしてやる」と言ったことについて、ピート・シーガー本人はこう言ってる。

エイミー・グッドマン：私たちは、ピート・シーガーと話しています。そして、allmusic.comで、あなたのバイオグラフィーを見ています。そこにはこう書かれています「ピート・シーガーのフォーク・ミュージックに対する尊厳の遵守は、フォーク・ロックの出現によって最高点に達した、1965年にボブ・ディランがポール・バターフィールド・ブルース・バンドと非常に電気的な演奏をしたとき彼は、プラグを引き抜こうとしたと長い間うわさされている」これは本当ですか?

ピート・シーガー：違う。電気楽器を演奏しないのは事実だ。使い方がわからない。一方でそれらの楽器を素晴らしく演奏する人達とプレイしたことはある。その中には、ほれぼれとするような演奏をする人もいた。ニューポートでハウリン・ウルフはボブが演った前日に電気楽器で演奏した。しかし（ボブ達の）音がとても歪んでいて彼が歌っている言葉が理解出来なかったから私は激怒した。彼は凄い曲を歌っていた。Maggie’s Farmは名曲だ。でもそれがわからなかったんだ。それでサウンドマンのところに駆け寄って「ちゃんとわかるように、音をなおせ」と言ったんだ。すると彼らは「NO! これは彼らの希望なんだ」って叫び返してきた。私はそれでよけい頭にきて「くそったれ、もし斧があったら、今すぐケーブルを切ってやるのに」と言ったんだ。その時はもう本当に頭にきてた。でもボブのエレクトリックに反対したんじゃない。

ピート・シーガーは確かに怒っていた。それはディランがエレキギターを持った事では無く。酷い音に怒ったのだ。同時にディランにも怒っただろう。「ボブのアホがこんな酷い音を注文しやがって」と。

マーティン・スコセッシのNo Direction Homeでもピート・シーガーは同じことを話している。また、その時の事を何人かの人が語っている。実際、斧を持ちだしたのかどうかは知らないが、当時のことを話している人達は誰一人としてピート・シーガー本人から直接話を聞いていない。No Direction Homeはそのことを物語っている。

Pete Seeger backstage at the Newport Folk Festival in 1965 (Jim Marshall)

昨年、春のインタヴュー

おかしな話ですね、50年前、ディランがエレキを弾いて人々が激怒したのに、今はそれがフォークの楽器だとあなたは言う

ピート・シーガー：勿論だ。今のボブは叫んでばかりで何を歌ってるのかさっぱりわからん。残念なこった。だが、彼はまさにこう言うだろう「私は私。これが私だ。気に入ればそれでいいし、気に入らなければ…残念だ」ボブは若い頃に良い曲を書いた。私もそうだった。

▼Pete Seeger talks Beethoven, Bob Dylan, and the end of the world (City Paper)

オバマ大統領就任記念コンサート (2009)

Pete Seeger's 90th Birthday Celebration from Madison Square Garden (2009)

Occupy Wall Street movement by marching from a concert at Symphony Space, up on 95th street, to Columbus Circle, at 59th street, in New York in October 2011