
Jimmy Webb

読者の質問にアーティストが直接こたえる、英アンカット誌の "An Audience With" 。以前フィル・マンザンネラの記事を紹介したが最新号では、9月にUKツアーを控えたジム・ウェッブが登場している。今回はその中から1981年ニュージャージーのディランの公演に来てたフィル・ベンダーさんの質問から
フィル・ベンダー:私は、1981年、ボブ・ディランのニュージャージー公演に観客のひとりとしてそこにいました。その公演で彼があなたに挨拶したあと "Let's Begin" を演奏しましたが、何かその時の思い出などありますか?
ジム・ウェッブ:私のギタリスト、フレディー・タケットが彼(ディラン)とツアーに出てた。同じくクライディー・キングも私の友人だった。彼(ディラン)は何曲か彼女とデュエットしたり、そして私のこのちょっとした歌をやり始めていた。どういうわけかドイツでボブ・ディランが私の名前を口にしたと幾人かの人から聞いた。
ある日、フレディーが「聞いてくれ。俺達はここのスタジアムで演奏するんだが、見に来て欲しいんだ。君のためのサプライズがあるんだ」と電話してきた。それで妻や友人達と一緒にコンサートを見に行った。ショーの中盤にさしかかった頃、ボブが勢いよく飛び出してきて言ったんだ「ジミー、これは君のために…」彼らはこのスイートな小品"Let’s Begin"を歌った。素晴らしい演奏だった。
私はボブが大好きだ。以前、彼に会った時、スタジオで彼の曲を私に演奏してくれた。正直、もっと他の物も一緒にいろいろと出来たらよかったのにと思う。彼のために面白いアレンジをしたかもしれないと思う。
「今からこの歌を演る。この曲を書いた作家が今日ここに来ている。今夜は沢山の有名人が来てる。あなたの隣に誰か有名人が座ってるかもしれないよと言いたい。あなたはそうだと知ってる。あなたは確実にそうだ。あそここにいる人も有名人だ。そう、彼だ…(演奏が終わって)…演奏が良かったことを願うよ、ジミー」
-----
ジム・ウエッブのLet’s Begin…例えば、この前年のツアーからカヴァーしていたデイブ・メイスンのWe Just Disagreeなどに比べたら遙かに知られていない曲だと思う。ディランファンには特に有名だが一般的にほとんど知られていない気がする。
もとは1980年にリリースされたリア・カンケル(Leah Kunkel)のアルバム"I Run With Trouble"の1曲目に収録されていた曲。リア・カンケルはその名前から想像出来るようにラス・カンケルの奥さん…といっても、元奥さん。因みにラス・カンケルはニコレッタ・ラーソンと再婚したが残念ながら彼女は病で亡くなった。その後また3度目の結婚をしたらしい。
リア・カンケルはジャクスン・ブラウンやJT、カーリー・サイモン、アート・ガーファンクル、スティーヴン・ビショップなど西海岸を中心としたアーティスト達のバックアップヴォーカルや作家として活動している。この曲もマイクとスティーヴのポーカロ兄弟、ルカサー、トム・スコット、グラハム・ナッシュと豪華なメンバーがバックを勤めている。
ディランとジム・ウエッブは1回しか会った事が無いという。なのでそんなに深いつきあいがあったとは思えないが、わざわざ本人をコンサートに呼んで目の前で本人の曲を演奏するというのはディランの中で大きな何かがあったのかもしれない。それにしてもディランは歌い終わった後に名前を呼ぶんだな、シナトラもそうだった。

Oct 27, 1981 Brendan Byrne Arena, East Rutherford, NJ, USA (Photo by Ebet Roberts)

Oct 27, 1981 Brendan Byrne Arena, East Rutherford, NJ, USA (Photo by Ebet Roberts)

Oct 27, 1981 Brendan Byrne Arena, East Rutherford, NJ, USA (Photo by Ebet Roberts)
▼BOB DYLAN - EAST RUTHERFORD, NJ 1981 (roio)
0 コメント