小さなソフトウエア会社がディランの50年のオーガナイズを2年かけてやり遂げた
ブルーウオール・メディア(Bluewall Media)は、ディランの50年以上に渡る音楽、写真、書き物、ヴィデオ、フィルム映像などのデジタルアーカイヴ化に協力した。ディランファンは今後数年間に未発表曲、リマスター、リミックスなどを含むボックスセットなどでそれらの成果を見ることが出来るかもしれない。これらの仕事は、ブルーウオール・メディアが10年かけて開発したStarchive(スターチヴorスターカイヴ)というソフトウエアのおかげで為しえたものだ。
ディランは同社のStarchive、初のクライアントだった。
「私たちはヴァージニアから来た、やる気一杯の子供みたいなものだったから、彼(ディラン側)らは、まぁリスクを負っていたよ」創設者のピーター・アゲラスト(Peter Agelasto)は言う。彼は、守秘義務があるので具体的な数字は明らかにしなかったが、10万点以上のものがデジタル化されたようだ。「素材の果てしない川のようで、おそろしいほどだった。ディランはアメリカ文化の震源地だったので、それは100万くらいあったかもしれない」ピーターは言う。
ニコラス・メリィウエザー(Nicholas Meriwether)はピーターが何を扱ってるかを正確に知っていた。メリィウエザーは、2008年、カリフォルニア大学サンタクルーズ校に寄贈されたグレイトフル・デッドのヘッド・アーキビストだ。ファンがやり取りしたVHSやカセットからポスターに至るまで広大な素材を扱っていた。グレイトフル・デッドやディランのようなアーティストをオーガナイズし保存することは文化的に重要だと強調した。
メリィウエザー:それは、広大で複雑なコレクションだった。その圧倒的なコレクションは今まで携わった中で最も難しい物だった。とは言うものの、報酬は凄かった。良く整理された広大なコレクションは結果として学者達に1960年代のカウンターカルチャーの理解を手助けしただけでなく、時が進むにつれて、関連する全ての膨大な問題がますます重要にものになってきている。
しかし、ブルーウオール・メディアはUCSCのような大きな組織ではない。ブロードバンドの設備ですら十分でない、ヴァージニアの田舎のちっぽけなソフトウエア会社&スタジオに、このような大変な仕事を任せようとディランのようなレジェンドがどうして思ったのだろう?
会社の副社長で音楽業界のヴェテランでもあるジム・フィッシェル(Jim Fishel)は、ディランのマネージャーと知り合いで、ピーターのソフトが彼の自慢になる以前の2002年にすでにソフトを紹介していた。その後、両者の関係は深まり同事にピーターの技術的野心も深まった。気がつくと彼は、包括的なアーカイヴのアイデアをディラン側に問いかけていた。
ピーター:それは素晴らしいアイデアだが、素材が多すぎて一生かけても整理出来ないんじゃないかな。と彼らは言ったよ。50年以上のディランの驚くべき凄いアナログの素材がある。しかし最高に簡単にアーカイヴを構築する方法が無かった。
そしてピーターと彼の開発者とエンジニアのチームは、Starchiveを発表した。そのソフトはアーティストの仕事をアーカイヴやオーガナイズするだけでは無かった。変換は一般的に複雑なプロセスを経るが、単純なクリックでそれを実現した。それはミュージシャンが彼らの仕事をディストリビュートしたり変更を加える余地を与え世界を広げた。
ピーター:プログラムは、1998年にMonkeyclaus(音楽スタジオ)をオープンしたとき必要に迫られて出来た。多くのミュージシャンはスタジオで録音する。しかし彼らの音楽がデジタル化しインターネットに移行しCDが時代遅れになってきたのでファンはより微調整された音楽を手に入れずらくなってきている。テクノロジーとアーティストはあまり仲が良くない。
…
ディランの仕事の達成は、ブルーウオール・メディアにとってでかい成果だったがピーター達のStarchiveはもっと先を見ていた。
プログラムは殆どのフォーマットを最高のクオリティーで自動的に変化し保存する。それがソーシャルメディアサイトでなくてもプロレヴェルのアルバムや写真集を出版したり、アーティストがデータを操作してリミックスのように新たなアートを作ったり出来る。それは、アーティストの手にパワーを与える。とピーターは言う。ここで質問が湧いてくる:これはレコード会社とマネージャの必要性を低下させるものなのか?
ピーター:直販は、もはや、そのことに関われないと感じるので、人々から恐れられる。マネージメント業界にとってそれは死だ。というのは間違った見方だ。本当の意味は、アーティストがたった今コントロールしているということだ。私たちはアーティストのハードドライヴをファンに見せ、それを早く作れるようにしている。本質的に音楽ビジネスはアーティストの仕事を救う方向に向かい、それは観衆のイヤフォンに到達する。それは革命的だ。
ピーターは、彼らのStarchiveがアーティストにコントロール出来る方法を与えるものだと考えている。
ディランの50年以上の驚くべき素晴らしいアナログデータを得た。しかし、実際にアーカイブを構築するのに、この超簡単な方法は無かった。ピーターは言った。
▼Stuck inside of Nelson: Local firm Starchive scores big with Bob Dylan archive(C-VILLE)
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2011年~12年にかけてブルーウオール・メディアのデジタル・アーキビストでジェネラル・マネージャだったパーカー・フィッシェル(Parker Fishel)は、アーカイヴァル・インターンとしてGrey Water Park Productionsのもと2007~2010年にかけてアーカイヴ関連の仕事をしている。このときの仕事内容は
●Cataloged to establish administrative and intellectual control of holdings in internal database
●Conducted arts and humanities research by request
●Received a research credit on 2008 album, “Bootleg Series Volume 8: Tell Tale Signs”
とまぁ何やらお堅い仕事をやっていたようだが、またその名前から副社長と関係があるのかもしれないが詳しくはわからない、が、こうした地味な繋がりもあったのだろう。
Grey Water Park Productionsはディランのプロダクション関連の会社だ。プロデュースや財政関連、ディランのメディアプロジェクトなどの仕事をしてるようだ。TTRHもその中に含まれている。I'm Not There、No Direction Home、Masked and Anonymousなどにも関わっている。
ここにピーターが作ったプレゼンがある。彼が言ってる事が少しは見えるかも…
日本にもスターカイブという同じようなサーヴィスを提供している会社があるようだ。ピーターのものかも知れない。
それにしても、ディラン・キャンプの人達は、新し物好きなのか…まぁチャレンジングなのか(笑)。テンペストの時はCNNCTD+、例のLARSは、Interlude。そして今回はBluewall Media。とそんなに有名では無いが面白い会社と付き合ってる感じがする。しかし「アーキビスト」て…肩書きであろうが、まぁ何でも仕事にするなぁ…それを認めるのも、認めさせるのも偉いなぁ(笑)。ただ、デジタル化されて整理されたからって我々が見れたり聞けたりするのとは別だよな(笑)。がんばって何でもかんでも公開して頂きたいものだ。
We're excited about Bob Dylan
Featured Project: Archive for the Bob Dylan Music Company
The project includes:
…ああ、ハッキングされないようにね(笑)。
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