「ザ・ブートレッグ・シリーズ第9集:ザ・ウィットマーク・デモ」のジャケ写を撮ったのは、ダグラス・ギルバート(Douglas R. Gilbert)という写真家だ。
現在68歳のギルバートだが、この写真を撮った1964年の夏は、ギルバートが21歳、ディランが23歳だった。彼はウッドストック、ニューヨーク、マンハッタンそしてニューポート・フォークフェスティバルなどで、まるまる1週間、900枚のディランの写真を撮った。
これは、彼にとってルック・マガジンからの初めての仕事だった。しかしルックは彼の写真を使わなかった。「ディランの写真がみすぼらしく見えたのだろう。ルックはファミリー・マガジンとしてのプライドがあったから、みすぼらしい写真など掲載したくなかったのだろう」とギルバートが言った。
1年後、ディランの記事を掲載したが、ここでもギルバートの写真は使われなかった。
1971年、雑誌社が潰れた時、ギルバートはディランのネガを譲受けた。が、彼はそのことを秘密にしていた。撮影したのは確かにギルバートだが、実際にこの写真の所有権が誰にあるのかが不確かだったからだ。そのため公表もせず、自身のためにプリントすらしなかった。
しかし2003年、ギルバートと同じくルックの写真家だったダグラス・カークランドが、その写真の所有権がギルバートにあることを伝えた。それから1年後、PBSがディランのドキュメンタリーを作り始めた頃、ギルバートの娘がPBSのプロデューサーに写真のことを話した。
すぐにニューヨークのディラン事務所から連絡が入った「全て見たい」と。
ギルバートは31枚をプリントしてニューヨークのディラン事務所に送った。その写真が「ザ・ブートレッグ・シリーズ第6集: Bob Dylan Live in 1964」のブックレットに使われた事を後で知った。
「珍しい出来事だった。全てが驚きだった。もうノックアウトされた気分だったよ」ディランのアート・ディレクター、ジェフ・ガンズ(GeoffGans)が言う。その写真を見たときは、ガンズはこのCDのアートワークを終えて1週間も経っていた。彼は、すぐさま11枚の写真をギルバートの写真に差替えた。
「ボブは彼の写真が大好きだった。皆で一緒にソファーに座ってる写真なんかも気に入っていた。自分一人にフォーカスされていないからね」ガンズが言った。
40年間、未公開だった写真はこうして日の目を見た。
2005年にはデイブ・マーシュと共に「Forever Young」を出版した。
▼Forever Young(Da Capo Press)
「ザ・ウィットマーク・デモ」のジャケ写がルック繋がりという意味合いがあるのかは知らないが........
→ルック・ビル
10月8日〜12月31日まで、アメリカミシガン州のHolland Museumで
Forever Young - A Retrospective of Bob Dylan
Photographs by Douglas R. Gilbert
Photographs by Douglas R. Gilbert
というエキシビジョンがあるそうだ。
1993年から個人開業のサイコセラピストとしても仕事を行っている。
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