2015年5月15日

Bobquest

2015年5月15日


Jill Furmanovsky



ロックフォトグラファーとして有名なイギリスのジル・ファマノフスキー(Jill Furmanovsky)。Oasisやピンクフロイドなど数え切れないアーティストの写真を撮ってきた。マグナムに触発されて1998年、Rockarchiveを設立した。Rockarchiveは、有名な写真家のメジャーでない作品、未公開作品や見込みのありそうな写真家のプロモートを行っている。

その同じ年、彼女はディランを「発見」し、どうしても写真を撮りたいと思い、体当たりでディランに接触をする、それから3年間ディランを追いかけるハメになる…

以下は3AM Magazine、2002年のインタヴューから、出版が予定されていた「ボブクエスト」の事を訊かれそれに答えている。

BOB DYLAN AND ME: AN INTERVIEW WITH JILL FURMANOVSKY


Jill Furmanovsky




●出版予定の本(Bobquest)について教えて下さい

さあ、おかしなもので、あなたが言うように本が出るというのに何もしていない。私は文章を書いて、ヴィジュアル関連をプロデュースした。全てRock archivesに繋がってる。


ボブクエスト(Bobquest・ボブ探求)とRock archivesは同じ時にきた。私は1998にディランを「見つけた」。Oasisを十分に撮ったと感じてから3年後のことだった。それは、私のキャリアに似ている。やり終えると立ち止まり考える。するとすぐに何かが入ってくる。

Oasisを完了していた。

彼らは休息をとった、私はこれ以上記録する必要性を感じなかった。もう十分だった、休息の時だった。私個人の生活も酷かった、結婚は破綻したし、もう一方の人生は感情のゴタゴタ。そんなとき偶然Time Out Of MindからのLove Sickを聞いた。私の人生でディランファンだったことは一度も無い。彼を偉大だと思っていたので、彼が過大評価されているとかそんなことは思っていなかったけれど、彼の曲は聞いたことは無かった。

不機嫌そうな声、尊敬だけ。

以前、彼の演奏を見て酷いと感じた。本当に興味を持てなかった。でも、ロバート・エルムス(Robert Elms)がGLRラジオでこの曲をかけたとき、私の琴線に触れた、それがちょうど私の人生のタイミングだったのか、或いはただ単にそうだったのか…彼は私に関係するレコードを作った…多分、色んな感情などが入り混じったもので驚くべきものだった。全てを止めて私自身を研ぎ澄まし、ラジオを自分に密着させた。そしてアルバムを買った、素晴らしいと思った。熱烈な感謝のしるしとしてディランのマネージメントに手紙を書いた。最後にはクリッシー・ハインドがからかってアメリカで「(私のことを)ファンじゃ無かったけど、今はファンです」と言った。

グラストンベリー(フェスティバル)とウエンブリーに来るのを知って、マネージャーに手紙で彼の写真を撮れるかと訊ねた。何も返事は無かった。手紙を書いたのは1998年の6月の初めで、グラストンベリーはその3週間後だった。けれど、私はディランの写真を撮らなければいけないと強く思っていた。私はウエンブリーのチケットを買い、グラストンベリーのプレス申請をした。私は彼を見ると決めた。

彼が写真を撮らせるかさえも分かっていなかった。彼のようなビッグ・スターが3曲だけ撮らせて追い出された事を思った。何もわからなかった。金曜日、グラストンベリーに行ったら恐ろしい天候で私は帰った。

グラストンベリーは忘れろ…そう考えた。ウェンブリーに行く。

でも、奇妙な巡り合わせかチケットが行方不明になった。なので、グラストンベリーに戻るか、彼を全く見ることが出来なくなるか…

それで、日曜日グラストンベリーに戻った。重い機材とウェリントンブーツ(長靴)を持ったまま、かつてない最悪のアホのようにバックステージパスもなく、まさに聖書にあるような被災地へのチケット。私自身の行動を凄いパズルのように思った。

そんな感じで本が始まる。

バックステージに着いたら、BBCのエリアに入れた。仲の良いジョン・ピールとジュールズ・ホランドが居たからだ。彼らはお茶を出してくれた。ディランはマイケル・イーヴィス(Michael Eavis・土地のオーナーで主催者)に救われた。それで、彼らが到着して写真を撮った。彼は楽屋に入ったが、私はそこに立ち入れない。でも、BBCのエリアが楽屋に隣接していてフェンス越しにOasisからの友人だったパルプの楽屋が見えた。ボディーガードはOasisと一緒にツアーをしていた人で今はパルプについている。私たちはお互いに挨拶を交わし、私を中に入れてくれた。

私はカメラを片付けなければならなかった。でもそのとき私の本The Momentは持っていた。出来ることならこの本をディランに渡したかった。話をしているとディランが通りかかった。彼が通り過ぎると私は本を引っこ抜いて彼の元に行き、この本を持ってて欲しいと渡した。彼は丁寧に受け取ってくれた、写真集、ありがとうと言って笑った。そして泥まみれのウェリントンブーツと共にキャビンに消えた。

私はファンタスティックな気分だった。ついにやった。

数分後、彼は火のついていないタバコを持って現れて「僕に手紙を書いた?」と言ったので「イエス」と答えた。彼は手紙のことを聞いていたように思えた。私の名前は随分前から知られていたし、事情を知っている彼の周りの誰かがいて、それで彼が私の名前に気がついたと思った。彼は「良い写真家が必要だ」と言った。私は「あなたは確かに出来る」と思った。Time Out Of Mindを見た誰もが、私がそれについて言った事を知っている。ほとんど彼がコントロールしているのでヴィジュアルが酷い。


Glastonbury 1998

私は彼に写真を撮らせてほしいと言った。彼は「何、ここで? 今?」と言ったので私は「イエス」と答えた。彼は「OK」と言った。私は緊張していなかった。それどころか驚きすらしていなかった。なぜならこの会話を含めて運命づけられたものだと思っていたから。私たちはしゃべり続けた。彼は話すだろうと思っていた。その後、他の人達と一緒にいる彼を見た。一度彼と普通に話してみるといい、楽しくお話が出来るだろう。彼はそれが好きだ。

とにかく、その時彼と話をして彼は写真を撮ってもいいと言った。写真を見ることが出来るか? と彼が訊いたので私はイエスと言った。その後、彼はどう見ても推薦出来ないような現場に連れて行ってほしいと言った。私はカメラを取りに戻ったが、バックステージパスを持っていなかったので放り出されそうになった。でもディランが話を通してくれていたので戻ってくる事が出来て彼と一緒にステージに行った。私は写真を撮った。彼のボディーガードでさえこの事が信じられなかった。


Glastonbury 1998


Glastonbury 1998


Glastonbury 1998


Glastonbury 1998

Glastonbury 1998


数日後、アメリカに写真を送った。すると彼が家に電話をしてきた。会話の途中で彼が、グラストンベリーの写真がベストアングルからの写真じゃないと感じた言ったが、私の仕事を気に入ってくれた。彼はThe Momentを読んでいた。そのことについて話した。彼は私のOasisの本も読んでいて、この本も好きだと言った。私はOasisと同じようにあなたに近づけるなら、その本と同じようにあなたを撮れると彼に言った。彼はいつでも好きなように自分を撮れると言った。私は「すばらしい、あなたの事務所と話をつけるわ」と言った。会話は終わった。私は折り返し彼に電話を出来なかった。

それが、ボブクエストのはじまりだった。

彼は好きな時に撮れると言った、そして彼が個人的にそれを取り戻すまでは彼の写真を撮ることは正当な事だと思った。でもどうやって彼を探す?どうやってそのポイントに戻る?その後、私は一種の探究として彼を撮影し始めた。それは困難で、面白く、そしてファンと全ての現象がちょっとした論題のようになって、たくさんの疑問が噴出してきた。それはちょっと偏執狂だと感じた。私は少し企てを失った。


May 2001, Modina, Italy

彼と面と向かって会うのに、2年半かかった。さしあたり、彼とのコミュニケーションは独特の方法だった。そして私は、彼のこれを経験し始めた…

「コロコロ気が変わるし、煙に巻いて逃げる」

同時に、彼はこの変なポジションと変なやり方…(多分それさえ楽しんでいただろう)…に少し責任を感じていたかもしれない。というのも、私は止める覚悟はいつでも出来ていたが、少しの励ましが私を道に戻し、続けさせたからだ。それは、ちょっとした結びつきのようだが、状態は悪化していた、だがあきらめることは出来なかった。

しかし最終的に彼を追い詰めることが出来た。去年(2001年)、アイルランドでエルヴィス・コステロと一緒にいたとき、なんとか彼と話をすることが出来た。とても簡素でとても愉快な会話だった。彼がもし可能なら、どのように続行したかったか…

これは、この物語がどう終わるかという事。

私はこの物語と写真をボブクエストとして出版しようと思った。魅力的で愉快なストーリーだ。ボブ・ディランは偉大な偉大なアーティストだ、世界で最も偉大な生きてるロック・フォークミュージシャンで詩人…それは彼が世界一偉大な人物だと言ってるわけじゃない。ボブクエストでの私の一つの結論は、それはミュージシャンとしては珍しく、ポートレート撮られる時よりパフォーマンスを演じてる時の方がはるかに親密(intimate)だということ。



Montreux Jazz Festival, Switzerland July 2001


それがライヴの写真を撮ることをあまりにも遠ざけ過ぎてる事だと思う。彼自身を危うくさせるから。彼にとってどちらがとても驚くべき事か…彼の最良の部分はいつもそこ…ステージの上にある。それを記録されることに彼は耐えられないと思う。あまりにも彼をかき乱すでしょう。ここに彼を座らせて写真を撮ることの方がより簡単。彼は本能的に働いていると思う。彼がやっている事を見返す時、それは意味を持っているが、(やっている)その時はある種、本能的に行動している。マイケル・ジャクスンとほとんど同じくらいイメージをコントロールしている。それは本当に桁外れだ。

彼は、ずっと(撮影を続けるのか)訊いてきたが、私を来させないだろう。それはどういう事を意味するのか? 何か他のことを意味してる。写真を撮りに来いか…、でも一方は多分違う!って思う。もしボブが写真の権利を買って私を彼の写真家として雇ったら、彼は写真を注意深く扱うから、写真は日の目をみないかもしれない。ということは、彼は今それを持っていないから私の方が有利。だからこのやり方の意義深い。



--------

結局の所、Bobquestは、現在まで出版されていない。が、有料のwebで読むことが出来る(全てかどうかわからない)。
Bobquest: In Search of Zimmerman (Jill Furmanovsky, Rock's Backpages, 2001)


国内ではplayer誌に記事が掲載された。




また昨年のPaolo Brilloエキシビションでは、彼女自身がBobquestを朗読したかもしれない。





それにしてもTime Out Of Mindのヴィジュアルが酷いって? あのジャケットは、確かラノワが撮ったと思うが



もう、ディランファンは慣れてるというか、あきらめてるというか、麻痺してるからなぁ(笑)。それにしても女性の分析というのも貴重だ。

因みに、Rockarchiveの日本での取り扱いは、Beamsが独占的にやっているようだ。




Glastonbury Festival, 1998 & 1995 (BW Pictures) England.


Glastonbury 1998


Glastonbury 1998


Glastonbury 1998


Glastonbury 1998 Photo: Per Ole Hagen


Glastonbury 1998 w/Nick Cave




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