ニューヨークのチェルシー・ホテル、とうとう買手が決り今月の頭、大物不動産投資家であるジョゼフ・チェトリト(Joseph Chetrit)に8千万ドルで買取られた。
カーマイン・ストリート・ギターのオーナー......リック・ケリー(リック・ケリー・ギターで有名な)はチェルシーから回収された白マツ(
white pine)でギターを製作しチェルシーの魂を維持しようと考えている。
ケリーが「古きニューヨークの骨」と呼ぶその白マツの存在は、1年半ほど前に彼の友人からこっそりと教えられた。他の人が見ればただの廃材に過ぎないが、ケリーはそこに歴史の断片を感じチェルシー・ホテルからそのマツを譲受けた。
ケリーはチェルシーの他にもう一ヶ所、ギター製作の素材を手に入れた。かつてジョン・スタインベック、ウィリアム・フォークナーとエドナ・セント・ヴィンセント・ミレーらのたまり場だったもぐり酒屋チャムリーズ(
Chumley's)だ。
禁酒法時代の1926年からもぐり酒屋として営業を始めその後、内部もそのままに営業し続けていたチャムリーズだが、2007年に閉店してしまった。その後、再開すると約束されたが現在までにその約束は果されていない。
今年の北京公演の写真。ディランは昨年からこのギターを使用している
ボブ・ディランのためにチェルシーとチャムリーズの2ヶ所の素材を使ってギターを製作した。
ケリー:ディランはボディーがチャムリーズで、ネックがチェルシーという組合わせが気に入っていた。他にもニューヨークの建物から出来たギターを使ってるアーティストがいる。パティ・スミス、ルー・リード、G.E. スミスがそうだ。
ケリーが初めてニューヨークの建物の木材でギターを作ったのは3年前だ。ジム・ジャームッシュがニューヨーク、バウリーのロフトを改装したときだ。ケリーはジャームッシュに2本のギターを作った。
ケリー:最初のギターを作った後で驚いた。そして思った『これを続けなければいけない』とね。再利用した木材はギターづくりにとても適していた。既に十分に乾燥し安定した状態にあるからだ。木材の樹脂は結晶化し振動のための気孔を開く.....共振を作るんだ。
彼は月に3本、再利用した木材でギターを作ろうと努力している。おおよそ1本1,500ドルで販売している。またこの木材はフェンダーの
テレキャスター60周年記念モデルにも使用されている。
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Kelly Guitars
こちらのブログによれば斉藤和義も顧客の一人のようだ
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Gear/Richard Thompson(Rock and Roll Chronicle)
1本1,500ドルと言えば、1ドル100円で換算しても15万円、ボディーのみの価格だとしても安いとおもうが
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Guitars handmade from the 'bones' of New York (BBC)
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