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Folk Music & Musicians, 1960s
↑既に、ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、素晴しいカラー写真です。
(via Neverending Pool Forum)
過去に日本のボブ・ディランと呼ばれた人は何人かいる。「よっ! 日本のディラン」とか呼ばれて、うれしかろうはずもないが、世間とはそういう無神経なものだ。
「あなたとボブ・ディランの違いを知ってるか?」という失礼な質問に
「勿論、彼は金を稼いださ」とHisao Shinagawaは答える。日本のボブ・ディランと呼ばれる事もある男だ。
彼の事は 'Japanese Bob Dylan' mourning loss of instrument というL.A. Timesの小さな記事で知った。(オリジナルはデイリー・ブリーズというローカル誌だがそのオリジナルはもうweb上には無い)
記事には「62歳のストリートミュージシャン、Hisao Shinagawaが28年前タウンズ・ヴァン・ザントから貰った大切なギター(1954年製マーティン00-18)を業者の車が踏み潰してしまい、途方に暮れている」と書いてあった。
※ヘッケルのプレイリスト2009:イッツ・オール・グッド(タウンズ・ヴァン・ザントの事をヘッケルさんが少しだけ書いてる)
Hisao Shinagawaという人物を全く知らなかったので検索すると、ホームページが見つかった。
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そして、Hisao Shinagawaが「品川寿男」というのもわかった。今度は品川寿男で検索してみた。武蔵野タンポポ団に参加、その後1974年に渡米したらしい。YouTubeにもいくつか映像があった。中でもこれが衝撃的だった。
More Money, More War (1984)
▼mp3 → 365 Days #170 - Hisao Shinagawa - More Money, More War
もっと凄いものがあった。ここでは、日本のジョニー・キャッシュと紹介されている。ミスター・ジミー・ヤンだ。
Hisao on TV
The Gong Show (1977)
1974年にアメリカに渡ってからの活動につて詳しくはわからないが More Money, MoreWar は、1984年頃のようだ、当時、マネージャーに黒木玄という人物がついていたようだ。おそらく、ニューフロンティアーズというバンドに在籍、その後渡米しハリウッドで音楽プロダクションをやっていた人だろう。
→森田玄(はてなキーワード)
1997年には当時学生だったMasahiro Suganoが彼のショート・フィルム「HISAO」を作成、その作品は色んな賞にノミネートされた。2006年には60分の長編ドキュメンタリー"IWant to Destroy America" が作られ2008年にはDVDもリリースされた。
→Eye from the Sky, inc.(Masahiro Sugano, CEO)
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I Want to Destroy America Trailer
Stray Dog Pays the Rent (2006)
Hisao Shinagawa(2006)
品川は業者の車がギターを踏みつぶした時の事を「My guitar's last gig」と表現した。
「突然起ったんだ。すごい音がした。それが、マーティンの最後のギグだったよ」
インターネットによれば、ヴァン・ザントからの譲りものという事を除外しても、5000ドルで取引出来るギターだった。壊れたギターを修理するのにおよそ2000ドル必要だろう。そして新しいマーティンは最低でも1000ドルかかる。品川はギターを壊した業者がその費用を払う事を望んだが、業者は知らんぷりだ。彼は哀れみやほどこしを望んではいなかったが新しいギターを買う資金を得るために、知合いからギターを借りて演奏した。
日本からも支援の声があがり「品川さんに、マーチン上げん!(Again)」というプロジェクトがスタートした。また記事を載せたデイリー・ブリーズも「何か援助したい人は、火曜日はウイルソン・パーク、トーランス・ファーマーズ・マーケット。土曜日はハリウッド・ファーマーズ・マーケットに行けば彼に会える」と品川をバックアップした。
→「品川さんに、マーチン上げん!(Again)」プロジェクト
記事が掲載されて約2ヶ月、「品川さんに、マーチン上げん!(Again)」がスタートして1ヶ月経った頃、そこに救世主が現れた。俳優のジョニー・ノックスビルだ。品川を「正真正銘のアーティスト」だと称賛するノックスビルは、10年前にメルローズ通の薄汚れたバーで演奏する品川を見て以来、品川の大ファンだ。品川のギターが壊れたというニュースを聞いたノックスビルは「泣きたくなった」と語った。それまでにも自身のブログで何度も品川について書きインタビューのビデオも掲載していた「特別な魂を持つ、特別な男」をノックスビルがそのままにしておくはずもなく、ノックスビルの尽力の結果、品川は新しいマーチンを手に入れる事が出来た。
→How's your hangover, South Bay? (South Bay Pipeline)
ビンテージマーティンのファンサイトには新しいマーティンを弾く品川の写真がジミー・ペイジの隣に載っている。
そして「Tales of the Valley of the Wind」というナウシカの実写映画にも出演した。
Tales of the Valley of the Wind (complete version, 2009)by Damon Packard
YouTubeで品川の映像を見ているとあの失礼な質問が蘇った。
「あなたとボブ・ディランの違いを知ってるか?」
勿論、そんなことはどうでもいい事だ。そして日本でこの様な生き方が出来るだろうかとも思った。日本のディランと呼ぶことは無いが、敢てこういおう「品川寿男のネバー・エンディング・ツアー」と。
2 コメント
アメリカで会いましょうや!!!
御本人ですか。びっくりしました。
よーし、頑張ってアメリカ行くぞー!!
コメントありがとうございました