Midnight Special



ミッドナイト・スペシャルは、ご存じのとおり、ボブ・ディランがプロとして初めてレコーディングに参加した曲だ。



今聞くと初々しいディランが何とも言えず、ついついハーモニカばかり聞入ってしまう。


Take 1 (4:06)


Take 5 (1:16)


Take 15 (0:28)


Take 16 (2:22)




2010年7月のモジョ・マガジン、インタビューでハリー・ベラフォンテは当時の事をふり返っている。

「その日はソニー・テリーが来る予定だった。しかし当日は凄い雷雨になって彼はメンフィスから移動出来なくなった。ギタリストのミラード・トーマスが『ビレッジでいつも見る子供が居る。夢を持ってるヤツだ』と言うので『オレ達に選んでる暇は無い。すぐに見つけろ』と私は言た。

そして、やせっぽちの子供が現れた。紙袋にいろんなキーのハーモニカを詰込んで持ってきた。私は彼のために歌ってみせた。すると彼は袋から一つのハーモニカを取出して、水にちょっとつけてから演奏を始めた。

素晴しい演奏だった。私は彼の演奏が気に入った。『他の曲も演りたいか?』と尋ねると、彼は『No』と言って出口の方に向った。その途中でハーモニカをくず入れに捨てた。

その時、『彼にそこまで軽蔑されるような事を何かしただろうか』と考えた事を憶えている。後になって、彼がハーモニカをウールワース(ドラッグストア)で買ったことがわかった。安物だったんだ。

それから何十年か経って彼の本(クロニクル)を読んだ。そして彼がその時私に対してどう思っていたか本当の事を知った。もう胸がすごく、すごくいっぱいになった。

私は最初からずっと彼を尊敬している。彼が何を言おうが何をやろうが私は石だ。石のファンだ」

ディランはクロニクルで「不思議なことに、わたしは何年ものあいだ、このレコーディングの日付を特別なものとして記憶していた。自分のレコーディングの日付のほうは、ぼやけてわからなくなっていたというのにだ。ベラフォンテのそばにいると、特別な祝福を受けているような気がした。・・・ハリーはすばらしい光を放つ貴重な存在でありだれもがその光を浴びたいと願う。だれもが尊敬する男だ・・・」と言っている。



後の写真だがハーモニカをコップの水につけている


話しは変るが、このミッドナイト・スペシャルのレコーディングは1962年2月に行われた。その3ヶ月後の5月、ハリー・ベラフォンテは、ジョン・Fケネディーの45回目の誕生パーティーに夫人と共に出席していた。ベラフォンテ夫妻が奇跡的写ってるこの写真......マリリン・モンローとジョン・Fケネディーが一緒に写っている唯一のものと言われている。他の写真は全てFBIとシークレット・サービスが回収したためだ。ケネディーはカメラを見た途端顔をそむけたそうだ。この3ヶ月後の8月、マリリンは帰らぬ人となる。1962年......

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