文字通り些細なニュース
■ディラン式金もうけ
ロッド・スチュワートの大ヒット曲で自身もフェイヴァリットソングの1曲としていつも名前をあげる"Forever Young"。で、とあるインやビューから…
質問:"Forever Young"は、ボブ・ディランの"Forever Young"にインスパイアされたの?
ロッド:まぁ、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないな。彼のその曲については詳しく知らない。"Forever Young"というタイトルの曲(ディランのカヴァーではなく曲のタイトルがForever Young)は沢山あるよ。 "Tonight's the Night"は、34ヴァージョンの"Tonight's the Night"と呼ばれる曲がある。
▼The stories behind Rod Stewart's biggest songs (Star Tribune)
実際、ロッドの"Forever Young"には、ディランの名前がクレジットされており、それはディランのSpecial Rider Musicに50パーセントの印税が入ってくることを示している。
ロッド自身、そのタイトルは映画のタイトルからだと言ったようだが、いざ曲をリリースする時、ディランの曲に同じタイトルの曲があるとスタッフが指摘し問題になった。それで二つの曲を聞き比べた。メロディーなどの楽曲は全然違う物だったが、曲のアイデアがよく似ていた。歌詞の構造がディランのものと酷似していた。マネージャーの シュティーフェル(Stiefel)は心配になり、直接ディランに歌詞を送り判断を仰いだ。ディランから直接の返答は無く弁護士を通して、曲に問題は無いが曲の所有権に関与したいと言ってきた。
シュティーフェル:明らかに潜在意識が働いた。我々は直ぐに気がつき、ディランがどうしたいかを確かめ、イニシアチブを取った。
結局ロッドはディランの言い分を聞き入れ、曲のロイヤリティを50%-50%でシェアすることにした。ただロッドは曲の印税を銀行に預けていない。彼は、"Forever Young" で世界中から得たその印税をホームレスのための地域医療のために全て寄付している。
▼Rod Stewart Sounds an Echo of Dylan (L.A Times/1988)
ロッドのようにディランが正直だったら…破算してるな…他人に厳しく自分に甘い、これこそが商売人ディラン…にもかかわらず、LAタイムズのパトリックはディランに賭けるという。ロッドのチャートカムバックに一役買ったということか…
■Time Out of Mind
タイトルと言えば、リチャード・ギアの新しい映画"Time Out of Mind"。4日から開催された、トロント国際映画祭で上映された。映画のタイトルからディランのアルバムを想起するが、そうかも知れないしそうじゃないかも知れない(笑)。そもそもディラン自身、お得意の借り物の可能性大だ(笑)。
By the way, although the title phrase, "time out of mind,"can be traced to Shakespeare (Romeo and Juliet) or Cervantes (chapter I of Don Q//ixote), the most likely source in this case (ironic, given the banter about reading women writers) is Edna St. Vincent Millay, "Dirge Without Music" (1928): "I am not resigned to the shutting away of loving hearts in the hard ground So it is, and so it will be, for so it has been, time out of mind "
Bob Dylan: Performance Artist 1986-1990 And Beyond By Paul Williams
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』、はたまたエドナ・ミレイの詩『Dirge Without Music(音楽のない葬送曲)』、はたまたウォーレン・ジヴォン 1978年のアルバム"Excitable Boy"に収録されている"Accidentally Like a Martyr"、エドガー・アラン・ポーの『アッシャー家の崩壊』…などなど言い出したらきりが無いのだが…ポール・ウイリアムズはエドナ・ミレイが濃厚だと言ってる。
リチャード・ギアの"Time Out of Mind" 監督は映画"I'm Not There"で脚本を書いたオーレン・ムーヴァーマン。
"Time Out of Mind"という言い方自体は、昔から普通に使われている表現らしい(=since I can remember:ずっと昔から、大昔、長年の間)。しかし、あーだこーだと色々と想像するのがディランファンの特権だ。まぁそんな特権はいらないが…(笑)。
▼With 'Time Out of Mind,' Oren Moverman seeks a new kind of boldness (L.A Times)
▼Toronto Film Review: ‘Time Out of Mind’ (Variety)
■ピーター・フランプトンとトークボックスの出会い
フランプトン:一番クールなエフェクターだ。ジョージのAll Things Must Passのセッションで実物を見たんだ。セッションに参加していたナッシュビルのペダル・スティールのレジェンド、ピート・ドレイクが持ってきていたんだ。ナッシュビル・スカイラインの時にボブ・ディランがジョージにピート・ドレイクを推薦したと思う。そして、アビーロードにやってきてペダル・スティールと共にここにいる。素晴らしい、素晴らしい人だ。「おい、ピーター、ヴォイス・ボックスを聞いたことがあるか?」って言ったんだ。彼は小さな箱を取り出し、ペダル・スティールの横にセットした。プラグを繋ぎ、パイプが出て来て彼はそれをくわえた。そしてペダル・スティールが私に歌いかけてきたんだ。死んで天国にいるようなこの音…それが目の前にあった。
▼How Peter Frampton Met the Talk Box (Ultimate Classic Rock)
▼Interview: Peter Frampton Talks Talk Boxes and Recording with George Harrison on 'All Things Must Pass' (Guitarworld)
ディランがいなければ、出会えなかった…というのは、フランプトンの想像だが、実際ジョージはナッシュビルのディランのセッションでピート・ドレイクと会っているだろうから、そんなにハズレてはいないと思われる。それにしてもバタフライ効果という言い方は好きではないが、そうしたカオス力学系(笑)の中にディランがいて、人の人生に大きく影響を与えているというか、ピーター・フランプトンのあのトーキング・モジュレーターがディランと関係してるなんて思いもよらなかった。
■何で、バーブラはボブ・ディランと仕事をしなかったの?
バーブラ・ストライザンド、オフィシャルWEBの掲示板から
Why hasn't Barbra ever worked with Bob Dylan? by sarahjeanx
ずっと不思議に思ってた。勿論、二人は全然違うタイプの音楽を演ってる、でもバーブラは、様々なアーティストと数多くのデュエットをやってきた。二人とも同じように有名だし、同世代だ、それにお互いユダヤ人だ。長年活動してる二人が一緒に何かをしなかった事が本当に不思議だ。
Re: Why hasn't Barbra ever worked with Bob Dylan? by depotguy1963
多分、70年代だったらそうだと思う…その当時コロンビアレコードの社長だったゴダード・リーバーソンが二人を一緒にしても、あまりうけないと、何かで読んだような…当時はビートニクス、と急進論者のみだつた。バーブラの売り上げがコロンビアの危機を救うほどのアーティストになるなんて誰も知らなかった!! 企業が間違える証明だ!!
▼Why hasn't Barbra ever worked with Bob Dylan?
ああ、これは思ったことがある。まぁ二人とも気難しそうだし…因みに、コロンビア内で“five Bs”と呼ばれるアーティストがいる。Bob Dylan, Bruce Springsteen, Billy Joel, Tony Bennett そして Barbra Streisandだそうだ。勿論、稼ぎ頭ということ。
※バーブラ・ストライザンドは9月16日、ニューアルバム"Partners"をリリースした。エルヴィスとのヴァーチャル・デュエット"Love Me Tender"が話題になっている。
01. It Had To Be You (w/ Michael Buble)
02. People (w/ Stevie Wonder)
03. Come Rain Or Come Shine (w/ John Mayer)
04. Evergreen (w/ Babyface)
05. New York State Of Mind (w/ Billy Joel)
06. I'd Want It To Be You (w/ Blake Shelton)
07. The Way We Were (w/ Lionel Richie)
08. I Still Can See Your Face (w/ Andrea Bocelli)
09. How Deep Is The Ocean (w/ Jason Gould)
10. What Kind Of Fool (w/ John Legend)
11. Somewhere (w/ Josh Groban)
12. Love Me Tender (w/ Elvis Presley)
■Hey, Jeff, how's it going, man?
昨年、ディランのアメリカーナラマに参加したウイルコのジェフ・トゥイーディー。以前アメリカ版エスクァイアの記事を紹介したが、今回はイギリスのUNCUT誌に少しだけ掲載された分と合わせて二つをまとめた形で紹介する。
トゥイーディー:ディランには以前一度だけ会った、彼と自分を知ってるフォトグラファーいて一緒に写真を撮ったんだ。ツアー初日か二日目の夜、沢山のトレーラーがある楽屋エリアの真ん中に立っていると、ちょうどディランのショーが始まる時間でディランとめかし込んだギャング達が通りかかった。彼は私を見た。自分がそこにいるこで彼らの邪魔になってるとは思わなかったので目をそらしてやり過ごそうとしてうつむきかけると「ジェフ、調子はどう? (Hey, Jeff, how's it going, man?)」ってディランが言ったんだ。僕の名前を覚えてたんだ。正直、思いもよらなかった。僕は頭を360度回転させて辺りを見回し「誰か見てた?」って、もう冷静でいられなかった。「調子はどう、ボブ?」って返して、もう最大に興奮したよ。
で、彼と少し演奏するようになってから少しだけ話が出来た。メイヴィス・ステイプルズが挨拶してたよって彼に言うと「自分と結婚するべきだと言っといてくれ」って。それで次の夜に「まだ入手可能」って彼女が言ってたっていうと「Yeah, right.I wish!」ってディランが言ったんだ。
彼に対する印象は、話すことを躊躇してしまう、パーティーで一番かわいい女の子みたいな感じだ。ポール・マッカートニーとボナルーで演奏したけど、彼はとても愛されたがっていた。彼はエネルギーにあふれ、3時間の間、彼は与えて、与えて、与え続ける。みんなが聞きたいと思ってる全ての曲を歌う。ディランは全くのゼロだ。何も与えない。そしてそれは本当に心に響く。このツアーのT-シャツは"PISSING PEOPLE OFF SINCE 1962(1962年から人々をムカつかせている)"て書けばいいんだとジョークで言ってたよ。
▼Seven Questions for Bob Dylan (Esquire)
▼Jeff Tweedy: “Rock’n’roll as a fashion and sellable lifestyle is definitely faltering”(UNCUT)
まぁディランについて何か言おうとすると、最高と最低をいったりきたりするな(笑)。目をそらした男に声をかけたかと思うと、25回ディランに会いに来たというファンに、なんでそんな事が出来るんだみたいなことを言ったり…ちなみにトゥイーディーは昨年ディランからメガネケースを貰ったそうだ。
また、息子とのアルバム"Sukierae"を9月23日リリースする。
全曲はNPRで試聴可能だ。
▼First Listen: Tweedy, 'Sukierae'
■Diana Krall:Wallflower
最後は新譜…と言ってもディランじゃない、ダイアナ・クロールのアルバム"Wallflower"。こちらは正真正銘、ディランの影響だ(笑)。10月21日に発売され、"Wallflower"ツアーも開始する。アルバムは、彼女のレーヴェル、VERVEの会長でもあるデイヴィッド・フォスターが全曲アレンジ。ポール・マッカートニーが、このアルバムのために書いた曲などが含まれている。
01. California Dreamin'
02. Desperado
03. Superstar
04. Alone Again (Naturally) feat. Michael Buble
05. Wallflower feat. Blake Mills
06. If I Take You Home Tonight
07. I Can't Tell You Why
08. Sorry Seems To Be The Hardest Word
09. Operator (That's Not The Way It Feels)
10. I'm Not In Love
11. Feels Like Home feat. Bryan Adams
12. Don't Dream It's Over
おまけ…お揃いだね…
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