『コンプリート武道館』発売記念イベント 2

その2


白木:田島さんお待たせしました。一番大変だったのは田島さんじゃないかと、ホントに素晴らしいアートワークを作って頂いて感謝しているんですけど、いろいろありましたねー
田島:最初から話ししていいですか。白木さんと青山でそばかなんか食べてて、来年あたりディランの武道館をやりますからと聞いて、じゃあただの再発かなと思ったんですね。まっいいですよって、騙されたような。それでそんな15年にわたる企画だなんて知らなくって、僕は軽く考えてました


白木:桜のデザインを見せてもらったとき、本当に綺麗だと思ったんですけど、これはどういうイメージで作られた感じですか
田島:背景が黒ですよね、基本的に思ったより武道館、当時は照明が今のコンサートのように沢山ないので、どういう風に撮っても後ろは、ほとんど真っ暗になってしまう。前回は顔のアップだったんでそれほど黒が気にならなかったんですけど、候補の写真は両側が真っ黒だったんで、ちょっと寂しいなと、しかも赤が強烈でこれをどうしようかなと思ってて色を落としていったんですね。赤を。だいぶ白くしていったら、これ桜ぽいなーと思って、で、桜の花を色々アレンジしていって、最初の案はボブ・ディランの服というか、体にも桜の花がかかってて、ちょっとやりすぎかなと思ったけど、それで一回プレゼンしたら、色んな意見が出てくるなかで、花は無いんじゃないかみたいな雰囲気になって、特に体にかかってる花はあり得ないでしょみたいな感じで、それでもう一つプラン、プランというか、8枚LPあってデザインしてるんですけど、その中で候補になるものがいいなというのもあったし、まぁ沢山色々作ってるなかで、やっぱりこれはどうしても引っかかってたんで、その胸元の桜を整理してもう一回プレゼンしたんですね


白木:ライブ・イン・ジャパンなんでどこまで日本を入れるか、これが結構難しいポイントだったと思うんですけど
田島:タイポグラフィーのデザインが多分重要だと思ったんで、いわゆる先進的なフォントじゃなくて、コンピューターに入ってるようなフォントじゃなくて手書きのフォントを探してきまして、これは昔のフォントブックにあるものをコピーして、自分でアレンジして組み立てた。そこには日本的なものをいれたんですけど、それ以前に桜がそもそもどうなのっていう

白木:たしかに花を使ったジャケットって無かったからどう思うかなとういのは確かにあった
田島:そして目を閉じてる。内省的な感じもあって、僕はダメかもしれないと最初思ってた


白木:でも、ちょっと交渉して、OK貰ってよかったです。次ですね、やっぱりこれですよね、これは最初からありましたよね
田島:これは、実は自分で書いたものもあるんですけど、ほとんどは色んなところにある…200枚か300枚くらいかな、色んな素材を集めまして。あんまり有名なものを使うとよくあるなというところがあるんで、出来るだけみんな見てないようなものをで、富士山はしょうがないんですけど、ボブ・ディランは写真なんですけど、それもちょっと絵ぽくしたり、金閣寺みたいなものは写真からもってきたりと色んなことをしながら絵として一枚、日本古来の絵を作ってみようと思って、そういう意味でどこにまだ使うかわからないけど一応プレゼン用に作ったんですね

白木:これは気に入ってましたね
田島:そうですね。最初なんか随分気に入られたみたいで

白木:使ってるのは、浮世絵の名も無い方もいらっしゃると思うんですけど、鳥の若冲からいろんなものを取り入れてるんですね 田島:ボブ・ディランも散歩してるのと違うのを入れたりしたんですけど、散歩してるの入れることによって日本に来た印象というか、日本で色んなところを旅した姿が全体的に表現された感じかなと、本当はもっと色んなものをいれたかったんですけど、あんまり入れてしまうと…

白木:あまりにも有名なものを、使うとそれはそれでイメージが限定されてしまうとおっしゃってましたね
田島:新幹線がけっこう受けたと思うんですけど

白木:ボックスのことなんですけど、光沢のある感じ、ディランて今までボックスというとマット系が多かったじゃないですか、それを光沢にしようとしたのは
田島:黒をしめるという意味では光沢にしたほうが黒がしまるんですよね。それは日本古来のなんていうか蒔絵(まきえ)ていうんですか重箱ですね、なんかイメージが近いかなと思ってあえて光沢のある黒を選んだんですけど、あとこれに金とか使えばもっとそうなったんですけど、そうするとどんどんジャパネスクていうか、日本色が強くなるんでそこはあんまりやり過ぎずロック的なものを出来るだけ残そうという感じはありました

白木:LPのジャケット表4につかってるこれが一筆書きなんですね
田島:そうなんですよね。これは誰だっけ、素晴らしいデザインがあるんですよね。僕は全然知らなくて、詳しい方は知ってらっしゃるかもしれませんが、全部一筆書きで出来てるデザインでちょっと感心しまして

白木:それぞれのデザインがジャケットとレーベルに対応しているという
田島:そうですね


白木:CDの方も中がオレンジを使ったという凄い大胆な感じで
田島:うーん、もともとオレンジですよねCBSレーベル、それもあって見開きの左側にある写真は本当はオレンジじゃないんです。それをオレンジに色を変えて開いたときの衝撃というかオレンジがいいかなと日本でやったぞーみたいな

白木:これが2LPのデザインすね
田島:レーベルが色々楽しめる


白木:この左上が最後に差し替えた
田島:そうですね。これも一枚作って、これもまぁジャケット候補として作ったんですけど多分初期の段階でダメでしたね

白木:これの左下も田島さんが描いたんですよね
田島:そうですね、足りないところは結構まぎれて自分で描いてるんですよね

白木:今回、写真は勝山さんとジョエル・バーンスタインさんの写真をつかったんですけど、どうでした
田島:ジョエルさんは前にも使いましたし、勝山さんも沢山いろんな写真があって、8LPはほとんど勝山さんじゃないかな

白木:残念ながら勝山さんはお亡くなりなってしまって、先日ボックスを届けに奥様のところへ行ったんですけど線香も上げて、凄い大量の写真がまだまだあるみたいで、あの写真がなければこれも成立しなかったんで、勝山さんがまだお元気なうちに出来たら良かったのになぁ思います。どうですか、最初に見た感じアートワーク
菅野:正直、最初桜見たときはえっ!ていう気持ちの方が強かった。最後に漆の箱みたいに仕上がったのを見てやっぱりこれで良かったと言う気持ちが強いですね

白木:写真があるようで無いようでなんていうか、表紙に使う写真が何でも良いというわけにはいかなかったですもんね
田島:意外と8枚作るのは結構大変でしたね。だいたい昔の写真は35mmなんで縦長なんですよね。縦長、横長で正方形にしないといけなくてそれを色々駆使したと思います

白木:大変大変て言って何が大変だというと凄い短い時間でこれを作って頂いて、毎日のように朝の5時にメールが届くんですね。逆に申し訳ないくらいで
田島:これに60ページのブックレットがって結構、白木さんも大変だったと思うんですけどやるたびに直しがあって細かい直しが沢山あってこれは使っちゃいけないとか


白木:面白かったのは、僕らが見るのと海外の方が見る感覚が随分違ってて、最後に変更した中で、鳥の写真があって、かわいいと思うじゃ無いですか、だけど海外の方見るとこれ死んでんじゃ無いかて話になるわけですよ。これ、最終的には差し替えましたよね
田島:そうですね、餌食ってると思うんですけど

白木:それじゃぁ、田島さんからのリクエストでワン・モア・カップ・オブ・コーヒーですね。これは何か
田島:当時シングル・カットしたんですよね
菅野:そうそう、欲望っていうアルバムに入っているんだけど、第一弾シングルがハリケーンで第二弾が、ワン・モア・カップ・オブ・コーヒー、コーヒーもう一杯って邦題つけて、これのジャケットを作ってもらったんだよね
田島:当時マグ・カップを作って
菅野:そうそう、一生懸命宣伝したんですよ。セミ・ヒット、僕のシングルの中ではわりとエアプレイ、ラジオでもかかって曲が受け入れやすい感じで
田島:ということです

白木:それではコンプリート武道館の3月1日のぶんから聞いてください




★質問コーナー
Q:付属のチケット、パンフは新たに印刷して作成したものですか?
A:これはコレクターの方やお持ちの方からお借りしてそれをスキャンして、直すところ例えば電話番号とかを消して作りました。ツアーパンフに関しては完璧に同じではありません。使えなかった写真があって、大人の事情で一部何枚か差し替えたものがあります。それとサイズが少し小さくなっています

Q:コンサートの全部の動画はないのか
A:全部録ったのは無いですね


白木:今日は最後にスペシャルゲストがいまして、と言っても僕らの仲間なんですが、ニューヨークのボブ・ディランの担当の方でこの方がいなければこのプロダクツは出せなかったというホントに感謝してもしきれない方です。ユルーンさんちょっと一言だけお願いできますか
ユルーン・ヴァンダーミア:ここに来れてとても光栄です。このプロジェクトは白木さんの長年の夢だったということをずっと聞いいたので実現出来たことをとても嬉しく思います。1978年にオリジナルが発売されてから他のマーケット、他の国にパーケッジをリリースすることを許していなかったので、今回初めてリリースすることになって、このチームは本当に安心出来る人たちで、安心して預けられたのでとてもハッピーにこのプロジェクトを進められました。これは日本だけで無く全世界に発売されている商品なんですが、もの凄い量のコメント、Eメールだったり連絡を受けています。今までのディラン商品の中で最も美しい商品なのではないかとみんなに言われています。なのでチームの皆さん本当にありがとうございます。本当に大変な思いをさせてすみませんでした。特に田島さんには色々なリクエストをしてしまって、さっきの鳥も本当にすみません。僕は食べてるように見えて、マネージメントはちょっと死んでるように見えてエネルギーがないように見えたのでやり直して頂いたんですが、色々細かいことを言ってしまいましたがありがとうございました。ボブ・ディランのマネージャー、ジェフさんからもチームそして皆さんにも感謝の気持ちを伝えてくれと言われています

白木:ありがとうございました!最後にひとこと言ってしめましょう。ヘッケルさんからお願いします
菅野:今、聞いてもらったようにホントに音が凄い。ボブがここにいるっていうのが伝わったと思うんですね。こういうプロダクトをみんなと一緒に作れたことを長く生きてて良かったなと、実は3日前ボブのコンサートを見て帰って来たばっかりなんだけど、36歳の凄くエネルギー溢れるボブの声、それから今82歳、今も同じように変わらず、声そのものは変わってるけど音楽に対する姿勢は変わらない。そういう人とこういう仕事が出来た事を僕は誇りに思ってます
鈴木:私事ですが、エンジニア家業をはじめて50年経ちました。この8LPが出来てきてマスタリングやって頂いた吉川さん、ヘッケルさ、白木さんと私でスタジオで二晩分を聞いたんですね。それで終わったときに思わず俺たちやったぜって話になって4人で固い握手をしたのが非常に良い思い出であります。ありがとうございました
田島:CBSソニーという今の前身の会社に入社してすぐにヘッケルさんと仕事をすることになって、鈴木さんとも知り合ってもう50年ですね僕たち。50年たって、まさかこういう光栄な仕事をまた一緒に出来るとは思わなかったんで、もう感謝しかないですし皆さんに応援してもらってとても幸せでございます。ありがとうございました

白木:最後にわたし、ホントにリリースできて良かったなと、もうそれしかございません。ユルーンさんが凄くサポートしてくれて、彼にしか言えなかったんで、彼が色々と色んなところに根回ししてくれたり大変な事が色々あったと思うんですけど、そのあとにこの3人の方々、色んな事がありましたけど、とにかくここに行きつて良かったなというのが今の気持ちでございます。私も結構いい歳なんですけど、定年前に出せて良かったと思います






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