2016年1月6日

ディランのステージ

2016年1月6日



ディランのステージ拝見


ディランのステージといっても、ご存じのとおり楽器以外何も無い。おまけに妙にバランスの悪いセッティグをしている。下の写真はお一人様ライヴの時の2カメのダンプ画像だ。





実際ステージ空間として使っているのは青い矢印のところまでだが、それでは見事に下手側に寄っている。センターマイクがセンターにないようにすら見える(笑)。それでバランスをとるために使いもしない、レスリーを置くことで何とか空間を広げて間をもたせている。


因みに下手側の境界になっているステュイーのラックも空と言ってもいいようなもの。




ステュイーのラックが元気な頃(2008年)



まぁ、ガラクタに挟まれてようやくとステージが成り立ったっていると言うと情けないが実際そうだ(笑)。それが今年じゃなく、昨年から変わった。バランスが良くなったのだ。下は最新のステージ写真だ。




間口の狭い小さなステージなのでディラン達にはちょうど良いのかもしれないが、大きなステージでもさほど変わらない。




また、舞台最後尾には必ず蓄光テープのようなもので導線がつくられる。完全暗転で出入りするディラン達に必須。






照明プランは大筋で変化は無い。大筋では変化は無いがツアーごと(厳密に言えば各ショーごと)に機材と共に細かく変化というか進化している。昨年は、一部、明るくなる傾向にあった。楽器がセットの一部なら照明もセットの一部だと言わん限りに目立っているあのレトロスポット。




どこの機材かは判らなかったが、このMole Richardsonの10kw(10,000w)のスポットがよく似ている。





Mole Richardsonはとても古いメーカーでスタジオや映画の現場でよく使われていたようだ。









この4、5年でディランの照明デザイナーは、少なくとも3人ほど変わっているが、見ているとそのことは全く意識することはない。むしろ一貫性があるようにさえ思える。おそらく前任者のプランを吟味しディランの要望を聞くとおのずとああなるのだろう(笑)。



2010年~11年


















2012前半







2012後半
※スポットがスタンドで立てられ、ステージ全体が暗くなる






2013年


ツアー初日、巨大スポットが登場した日




下手に寄ってる(笑)


サマーツアー(アメリーカナラマ)。床のスポットはそのままに吊りは逆アーチ型になっている。影は舞台前方に出ているが、まだ舞台背面にを出している



フォールツアースタート時。バンドを取り囲むようなセッティング、会場の都合でこうなったのだと思うが立体的でかっこいいが、基本的にサマーツアーと同じ



 フォーツアー後半。またもや当たりに変更が加えられ、バンドメンバーを狙っている。また、舞台前方方向への影が目立つようになる


2015年


スポットが一つ増えて7個になったが基本的な当たりは、2013年変とわってないようだ



ディランの影が後ろに伸びることは、ほとんどない




影というのは後ろに出来る…特にステージでは…ものだと思っていたがそうでは無いようだ。後ろではなく前に影が出来るステージなんて見たことが無い。いわゆる「歌もの」の照明は基本的に点いたり消えたりしているだけだ。照明だから点いたり消えたりするのは当然なのだが、まぁ(ライトを)何百本つろうが基本的にはパカパカと激しく点いたり消えたりしているだけだ。ディランの照明はそういうのとは全く違う。もうそろそろ照明プランナーが交代しそうだが…もう変わっているのかもしれないが…。


ステージのモニターも見た感じシンプルだ。バンドは基本的にウエッジ(コロガシ)、ドラムスのジョージだけはイヤモニターを使用しているが毎回使っているのかよくわからない。今のディランはピアノは、主にウエッジを使いセンターはサイドフィル(スピーカー)を使っている。ウエッジは現場により異なるがサイドフィルは、必ずL-AcousticsARCSというシステムを使っている(会場によりDV-Subを併用している)ディランはこのシステムを2007年頃から使い続けている。L-Acousticsは90年代から使っていて、かなり気に入ってるようだ。因みにオーチャードホールのハウスはL-Acoustics。

オーチャードホール様にL-ACOUSTICSが採用されました。










ARCS


DV Sub

モニター用のコンソールは、マイダスのヘリテッジ3000(アナログ卓)を使用している。これはエンジニアの選択だろうが、これもこの10年近く変わっていない。アンプはアムクロンなどの一般的なものだろう。




Midas Heritage 3000

FOH(客席側の音響)は、基本的にはデジコのSD-TEN(デジタル卓)を使用しているようだ。状況によりアナログ卓を使ってる場合もある。スピーカー等のシステムはローカルの機材サプライヤーに委ねているように思われる。





DiGiCo SD-10

ステージ上の音自体はさほど大きくなくサウンドはディランのヴォーカルが全てだという事は容易に想像がつく。例えばこの生々しい録音のLove Sick。注目はステュイーのカッティングだ。




イントロからディランのヴォーカルが入り、そして2コーラス目、バンド全体が絡んでくると、そのレヴェルが極端にダウンしているのがよくわかる。ただ他のLove Sickを聞くとここまで極端にレヴェルが落ちていない。なのでどの位置で録音したのかが非常に興味深いのだが…。ステージ上の音が小さいとそれだけ客製側のPAは、まぁクリアーになる。SD -TENの今風なデイジタリーサウンドに加え、ステージ上の回り込みの少なさも相まって、今のディランのスーパークリアーな音が出来てるような気がする。

取り立てて何か特徴的な事は見つけられないが、タイコ周辺が面白い、というか「なんなんだろうこれは?」といった方が良いかもしれない。まず、ジョージの背中にある大きなスピーカー、あれはDV-Subなのだが、何故にウーハーだけがあんな所にあるのだろうか? あれはジョージ用ではなくディラン用ではないだろうか? それとスネアの脇に置かれているキューボックス代わりのミキサーのようなもの…



2013年スプリングツアー



またマイキングも特徴的だ。




2013年フォールツアー

裏から録っている。
スプリングツアーまでは普通に表から録っていた。




2015年。裏から録っていたマイクが無くなった(笑)。あまり叩かないしタムで拾うよなパターンか、生音で聞こえるし的な…


トップのマイクを表からでは無く裏から録るのは主にスペース的な制約の場合が多い。勿論、音質的な場合もある。が、この場合は問題は照明だろう。背後からレトロスポットで狙うと恐らくスタンドの影が出来てしまう。それを嫌って裏から録っているのだと思う。また他のマイクも実に効率的に目立たないようにセッティングしている。

裏から録ってるのは影が出るため…ずっとそう思っていたのだが…アル・シュミットのインタヴューを見て「???」と思った。曰く、ディランはマイクを見たくないと言った。

もしかするとステージでも同じ事をリクエストしているのだろうか?
思えばチャーリーのリフレクター…




※参考:アメリーカナラマの時のマイモーニングジャケットのアンプ、もしかしてこれを見たかぁ(笑)

これも… 音質のためだと思っていたがもしかしたら、マイクを隠すオーダーがあったのかもしれない…と思うようになった。

まぁ、音質と隠す、その両方の意味合いがあるのかもしれないし無いのかもしれないが(笑)。


以前にも書いたが、ステージ上のディランはまるで自分の部屋か別荘にいるような感じでリラックスしているし自由だ。観客はその部屋を見に来ている。ディランはその観客に「サンキュー、フレンズ」と舞台(部屋)から言う。しかしディランの言うその友達は圧倒的境界線から部屋の中へ入ることは決して出来ない。部屋に入れるのは、「本当の友達」だけだ。

いや、
もしかしたら、あなたを友達と認め部屋に入れてくれるかもしれない。
まぁ、30年に1回くらいだが(笑)。
Friend of Dylan


PS
うーん今回、長くてしかも散漫な内容で申し訳ない。出来れば後で修正出来ればしたいと思う。





5 Responses to “ディランのステージ”

匿名 さんのコメント...
2016年1月11日 20:10

ワイト島の話でコメントいたしました美津留ともうします。
今日ボウイが亡くなった訃報を知りました。
ボウイは��ボブディランにささげる歌を歌いました。
前回はシドのボブディランブルースの話をさせていただきました。
ボウイが歌ったステージでの死の歌は66年のボブディランのイメージと重なります。
60年代ディラン70年代ボウイ80年代プリンスと自分勝手に思い込んでおりましたのでボウイの訃報はとてもショックです。
バイオグラフ発売のときのディランとボウイのツーショットが思い出されます。


smz さんのコメント...
2016年1月13日 3:01

アルバムも出て元気そうに見えたのに残念です。


匿名 さんのコメント...
2016年4月12日 16:32

はじめまして、詳細な解説と写真が豊富で素晴らしいですね。
2016年の大阪公演4月11日を観ました。
ディランのモニターについてですが、確かにサイドフィル(スピーカー)が置かれてました。
ピアノに座って歌う時はコロガシが右側に置かれてました。オーチャードホールでは左側の様ですが・・・。
私も僅かながら演奏をする身ですので、そこが気になるのですが、フェスティバルホールの広さから
サイドフィルで74歳のディランに聴こえるでしょうか?
唐突な話になりますが、演奏が始まるまでは東京公演の写真などを見て、
ディランの両サイドのガイコツマイクがボーカルを細かく拾うためと思ってました。
でも、ピアノに座って歌う時も余り差が無いんですね。
あのガイコツマイク自体がモニターという事は無いでしょうか?
イヤモニは多分嫌うでしょうし。あの位置でモニターできれば歌いやすいのでは?
家でステレオ向かって歌うような感じではないでしょうか?
写真撮影禁止立て札も重点的に3本マイクを隠すようにしてましたし、
終演後も真っ先にハケてたので気になって、突拍子も無い事を考えてしまいました。
余りにも非常識な仮説ですみません。


smz さんのコメント...
2016年4月13日 4:31

サイドフィルが聞こえるのかという疑問をおもちなんですね。断言しますがガンガン聞こえますよ(笑)。本当です。私自身PA屋さんですから(笑)。それと「マイクがモニターなのでは無いか?」と思われる方がわりといらっしゃいますが、うーんどうでしょう…僕はあり得ないと思います。でもあれやこれやと想像したりさせらたりするのがディランの楽しみだと思ってるので、みなさんがそれぞれに思いを巡らせて想像するのもいいですよね。楽しいです。そういう疑問を抱かせますね。

あっ、モニターというとアレですがディランが使ってるARCSは本来は表のPAで普通に使うシステムです。

いろいろと例をあげてお話も出来ますが、その辺りは勘弁して下さい(笑)。すみません。

コメントありがとうございました


匿名 さんのコメント...
2016年4月13日 16:38

そうですよねー!モニターはARCSでシステムを組んでるので聴こえますね。
一度はそういう状況で演奏したいもんです。
掲載されてる写真や実際のステージを見てもケーブルが見事なぐらい
見えないようにしているのは凄いですね。
照明もハデではないんですが実に凝ってました。
特にキックに仕込まれたアタックと強さに同期させたファイアフレイムは見応えありました。
ドラマーの方ならどのように踏んでるか、よくわかって勉強になりますね。
ご丁寧な回答有難う御座いました。


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