Big Boom, Big Changes


アメリカのコンサート・ビジネスが絶好調だ





昨年から続いているHistory of the Eagles Tour。今年の初日は15日からのロサンゼルス、フォーラム(The Forum)からスタートする。それを記念してフォーラムの屋根に世界最大の回転するヴィニールのレコードが作られた。2012年フォーラムはMSGに2350万ドル(24億円)で買収された


アメリカのコンサート・ビジネスが復活し大金を生み出してる一方で、トップの企業は大きく変化している。以下は、昨年末Billboard誌に掲載された記事から。

The Year's Many Touring Shakeups (Billboard)

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2013年はまさに特筆すべき年だった。業界は最も活気のあるこの年の至福を味わうだけで無く、いくつかの記録も過去最高のものだった。ビッグカンパニーが記録的な大金を稼ぎ、意義深い人事異動も経験した。法廷に出廷するものもあれば、ツアーに出る者もいたが、ビッグネームは大きな波を作った。これは2013年の最も大きなニュース・ストーリーだ。



急成長するコンサートビジネス
ツアー産業は2010年の大スランプから抜け出そうとしている。世界的に見て総売上は30%アップ、コンサートの動員は26%アップしこれは、過去最高だった2009年を9%以上超えていた。2010年当時、暗雲が立ちこめていた業界だが、価格設定、パッケージなどを見直し成長の兆しを見せ始めた。国際的マーケットを広げ続け、ヴェテランがコンスタントにライブをこなしている間に新人アーティストがチケットを売った。


ライブネイションの最高責任者からステップダウンしたアーヴィング・アゾフ
2012年12月31日、アゾフが「ライブ・ネイション・エンターテインメント」を去った。世界最大のプロモーター、マネージメント、チケット販売会社は、2010年チケットマスターとの合併を成し遂げた著名なリーダー無しの運営を余儀なくされた。

2012年、ビルボード誌 "Power 100" で No1 に選ばれたアゾフは、イーグルスなど一握りのアーティストだけを連れて出ていった。そして、古い友人でMSGの会長ジェームズ・ドーランと共にMSGEを立ち上げた。

一方、ライブ・ネイションは新しいCEOマイケル・ラピーノのもと、2013年チケットの売り上げは前年比で15%アップし北米で2,000万枚以上のチケットを売った。時価総額36億ドル、ライブビジネスでの唯一の公開会社2012年には、8.68ドルまで下げた株価を昨年は18.41ドルまで引き上がった。コンサートの動員数も前年に比べ27%アップした。

ライブ・ネイションのマネジメント部門、「アーティスト・ネイション」は、ライブ・ネイションが「プリンシプル・マネジメント」と 「マーヴェリック・マネジメント」獲得のニュースが出るとその名は一気に急上昇した。その二つの会社はそれぞれU2とマドンナを意味している。U2のマネジメントはマーヴェリックのガイ・オセアリーが引き継ぐ。業界は毎年、30億ドル(3,000億円)のタレント予算と健全なライブ・ネイションが必要だ。

U2とライブ・ネイション契約締結が意味するもの 音楽ビジネスの主舞台は「興行」へ(Real Sound)
U2がライブ・ネイションとマネジメント契約で合意、新マネージャーには現マドンナのビジネスパートナー(Musicman-NET)



(from left) Inglewood Mayor James T. Butts Jr., MSG Entertainment president Melissa Ormond, MSG Co. president/ CEO Hank J. Ratner and executive chairman James L. Dolan, Azoff Music Management’s Irving Azoff and the Eagles’ Joe Walsh, Glenn Frey and Timothy B. Schmit




売却を食い止めるAEG、ライウィキとフィリップスを放出
2012年の秋、スポーツとエンターテインメントの巨人、「アンシュッツ・エンターテイメント・グループ(AEG)」が売りに出され業界を驚かせたが、翌2013年の3月、売却が止められ同時にCEOの ティム・ライウィキが辞任したことで、さらに業界は驚いた

2013年の "Power 100" で No8に選ばれたライウィキは、スポーツ・コンテンツとコンサートの収益、それにまつわるチケットやメディア契約、マーチャンダイズ、スポンサーシップ、そして劇場やアリーナなどの不動産などを組み合わせたAEGモデルを仕掛けた人物ということで広く知られている。ライウィキ無しのAEGを描いた者はほとんど居なかったが、現在は、入社15年で前CFO/COOのダン・ベッカーマンがpresident/CEOに就任、持続的な成長と投資について戦略をめぐらしている。

AEGへの打撃は、まだ続いていた。世界第2位のコンサート・プロモーター、ライブ・エンターテインメントの会社でAEGのライブ部門のAEG LiveのCEOランディ・フィリップスは、彼にとって記録的な年の終わりに企業再編の一環として解雇された。改革の一部として、AEGのCOOジェイ・マルシアーノがAEG LiveのCEOを受け継いだ。

AEGの子会社「ゴールデンヴォイス」のPresident/CEOに、コーチェラの創立者ポール・トレットが指名され、同じく子会社でAEG Liveのグローバル・ツアー部門である「コンサーツ・ウエスト」のco-CEOに、ジョン・メグレン、そしてSVP/ジェネラルカウンシルだったショーン・トレルがCOOに昇格した。

※これらの人事異動はマイケル・ジャクソン裁判の影響が大きいと思われる。3月の再編でロンドンから呼ばれてAEGのCOOになったばかりのマルシアーノがAEG LiveのCEOに。裁判で渦中の一人となったトレルがCOOになっている



AEGは無罪
コンラッド・マーレイ医師(過失致死罪による4年の実刑判決で2011年11月から服役。ただし先に早期釈放が決定)を雇用していたAEGに対しその責任があるという訴えは近年、最も注目を浴びた業界の裁判だった。ロサンゼルスの陪審は昨年10月、AEGに無罪を言い渡した。訴えはマイケルの母キャサリンが起こした。彼女はAEG Liveが財政上の理由から50カ所の"This Is It"コンサートをマイケルに無理にさせようとしていたと考えていた。

裁判は茶番のようなものだったが、業界で有名なAEG Liveのフィリップスやコンサーツ・ウエストのポール・ゴングなどが証言台に立った。有罪判決は将来交わされる契約の先例になっただろし、裁判はそれだけでインパクトがあった。

プロモーターがツアーの契約をするということを始めた70年代にまで遡れば、合法的に誰が誰を雇っているのかは曖昧な状況だった。今日まで、これらのプロデューサーがどのように暴露したかは恐らく詳しく調査されていないが、法廷に出廷するという今回のAEG/ジャクソンのケースは、少なからず今後のゲームに影響を与えるだろう。24時間、医者が必要だというアーティストは希だろうが、将来的にそのような事があれば今回のケースは、それにも大きく影響を与えるだろう。


AEG、ぎりぎりでストーンズのツアーをかっさらう
ローリング・ストーンズのツアーの話題はいつもビッグニュースだが、AEGが昨年の3月、土壇場で "50 & Counting"ツアーの北米のプローモート権をかっさらったことでさらに大きな話題となった。

2012年12月、グループが50周年記念のために再招集されたたったの5日間、その5日間が非常に疑わしいのだ。この5日間のショーをプロモートしたのは、オーストラリアのプロモーター、ポール・デインティー(Dainty Group)とヴァージン・ミュージック。それは、AEGとライブネイション、そして前のストーンズのプロデューサー、マイケル・コール 等と激しい入札合戦をやった結果だった。ポール・デインティーとヴァージン・ミュージックのペアは、競り勝ち、交渉までたどり着いたのだ。Dainty/Virginはこの5日間のショーで3,870万ドル(40億円)売り上げた。

翌年予定されている13の北米ツアーもこのペアがプロモートするだろうと言われていた。情報筋によれば昨年3月前半の時点ではほぼ決まりだと言うことだった。しかし、デインティーは契約に失敗、ストーンズ側は金銭的な問題でAEG Liveと接触、AEGのオーナー、フィリップ・アンシュッツはすぐに8,000万ドル(80億円)近い契約を成立させた。

コールの立てた戦略と計画の下にあった事で知られるストーンズが、ツアーが始まるたった2ヶ月前に新しいプロモーターが決まるのは非常に希な状況だった。ツアーが始まった時、高額のチケットが販売促進のためかなり値引きされるのではないかという推測が渦巻いた。AEG Liveのメグレンが、今回は違うと「フレックス・プライス」を引き合いに出してスキャルピングに対抗し市場価格を決定するよう努力したとビルボードに語った。

いずれにせよ、ストーンズは全てのチケットを完売し、8,700万ドル(87億円)を売り上げAEG Liveにツアーの利益をもたらした。


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ザ・ローリング・ストーンズが「ツアーはまだ未定」と発表(R.O)
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コーチェラに代表されるフェスティバル、善戦
2年目のコーチェラ、2週間で6,700万ドル(67億円)の記録的ボックススコアで、北米のサマーミュージック・シーンを牽引、その大黒柱としての地位を固めた。おおまかに言ってアメリカ人が疑いも無くフェスティバルを受け入れている間に、特にフェスティバルに対し明確なアイデンティティを持ち、ライフスタイル・マーケットをターゲットにしたニッチ市場に、おそらくは最良の成長の機会があるだろう。

多くの場合、それらはアーティスト・キューレート(厳選)されたイヴェントだ。




ライブ・ネイション・エンターテインメント(Live Nation Entertainment)
マーヴェリック・マネジメント(Maverick Management)
プリンシプル・マネジメント(Principle Management)
ゴールデンヴォイス(Goldenvoice)
コンサーツ・ウエスト(Concerts West)
アンシュッツ・エンターテイメント・グループ(Anschutz Entertainment Group)

アーヴィング・アゾフ(Irving Azoff/Azoff Music Management Co.)
ジェームズ・ドーラン(James L. Dolan/The Madison Square Garden Company)
マイケル・ラピーノ(Michael Rapino/Live Nation)
ガイ・オセアリー(Guy Oseary/Maverick)
ティム・ライウィキ(Tim Leiweke/Maple Leaf Sports & Entertainment)
ダン・ベッカーマン(Dan Beckerman/AEG)
ランディ・フィリップス(Randy Phillips/AEG Live)
ジェイ・マルシアーノ(Jay Marciano/AEG Live)
ポール・トレット(Paul Tollett)
ジョン・メグレン(John Meglen)
ショーン・トレル(Shawn Trell)


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Bob Dylan In Japan (pollstar)

ポールは6日間で4,000万ドル(40億円)かぁ…。
ディランは14日間で(2,000×13,000×14)ぐらいか(笑)。やすいな。

ちなみにX JAPANもアゾフがプロモートしてるらしい。そしてランディ・ニューマンのShort Peopleはアゾフに対して歌ったという噂だ。



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1 コメント

匿名 さんのコメント…
こんばんはJimiです。

我々ボブディランファンが
知らない情報をありがとうございます。
これは私の邪推ですが
ボールは何人目かの妻のために大金が必要なのかもしれませんね?
ディランも二人目の妻や娘のために必要なのかもしれません。
でもディランファンの我々は
ディランがステージで声を出してい姿を見ることができれば高額なチケットでも幸せなのです。